「虎に翼」の意味とは?読み方・由来・使い方・類義語まで解説

虎に翼

一言でいえば、「虎に翼」とは、もともと強い者や勢いのある者に、さらに威力が加わることをいう。多くの場合、権力や勢いを持つ者が一層力をつける様子を戒める、やや否定的な文脈で使われることわざである。

目次

①「虎に翼」の読み方・意味

「虎に翼」はとらにつばさと読む。もともと強い虎に、空を飛ぶ翼まで与えたらどうなるか、という比喩から、すでに強い者や勢いのある者が、さらに大きな力を得ることを表す。多くの場合、権力や勢いを持つ者に一層の力が加わることを戒める、好ましくない文脈で使われる。

読み方とらにつばさ
意味もともと強い者や勢いのある者に、さらに威力が加わること
分類ことわざ

②「虎に翼」の由来

「虎に翼」は、中国の思想書『韓非子』の「難勢」篇にある「虎の為に翼をつくることなかれ」という一節に由来するとされる。もともと強い虎に、あえて空を飛ぶ翼を与えるような真似はするな、という戒めの言葉であり、原典では愚かな者や危険な者に権力を与えることへの警句として用いられていたとされる。この故事が転じて、日本語ではすでに強い者や勢いのある者が、さらに力を増す様子を表すことわざとして定着したとされる。

③「虎に翼」の使用例(例文)

  • もともと発言力のある専務が、今度は人事権まで握るとなれば、まさに虎に翼だ。
  • 足の速い彼が新しいスパイクを手に入れたのだから、虎に翼とはこのことだね。
  • すでに市場を席巻しているあの企業がさらに大型出資を受けたとなると、虎に翼になりかねないと懸念する声もある。

④現場で見た「虎に翼」の使いどころ

以前、知人から取引先の代表者を紹介するスピーチ原稿を見てほしいと頼まれたことがある。相手を持ち上げる場面で「虎に翼のようなお方で」と書かれていたのだが、この言葉は本来、強い者にさらに力が加わることを戒める、やや皮肉めいたニュアンスを含むことわざだと伝えると、驚かれてしまった。字面だけを見ると景気のよい褒め言葉に見えるが、実際には諸刃の剣のような言葉なので、素直な賛辞として使うと意図が正しく伝わらないことがある。そう助言して、その場面では別の言い回しに差し替えてもらったことがある。

⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点

「虎に翼」は、すでに優位な立場にある人物や組織が、さらに有利な条件を得た状況を評する際によく使われる。市場分析やニュース解説のような、やや客観的・批評的な文脈にはなじみやすい一方、単純に人を褒めたいだけの場面で使うと、意図せず皮肉に聞こえてしまうことがある。とりわけ結婚式のスピーチや昇進祝いのような、相手を手放しで祝福したい場面では、この言葉の持つ戒めのニュアンスが誤解を招きやすいため、慎重に使うか、別の表現を選んだほうがよい。

⑥類義語との違い

最もよく比較される類義語が「鬼に金棒」である。どちらも強い者にさらに力が加わる状況を表す点は共通しているが、ニュアンスには違いがある。「鬼に金棒」は、心強い援軍や道具を得て一層頼もしくなる、という肯定的な文脈で使われることが多いのに対し、「虎に翼」は、もともと危険・強大な存在がさらに手に負えなくなる、という戒めや警戒のニュアンスを伴うことが多い。似た成り立ちを持つ「弁慶に薙刀」や「獅子に鰭」も、強い者がふさわしい武器や能力を得るという意味では近いが、「虎に翼」ほど否定的な含みは強くない。

⑦対義語

「虎に翼」には、はっきりとした対義語は存在しないとされる。あえて対照的なニュアンスを持つ語を挙げるなら「弱り目に祟り目」がある。「虎に翼」が強い者にさらに勢いが加わる様子を表すのに対し、「弱り目に祟り目」は弱っている者にさらに悪いことが重なる様子を表す点で、力の増減の方向が正反対の言葉として理解しておくとよい。

⑧一文〇×テスト

Q. 部下の昇進を祝う送別会で、「これでますますご活躍ですね。まさに虎に翼です」と最大級の賛辞として伝えた。

正解は「×」!

「虎に翼」は、もともと強い者にさらに力が加わることを戒める、やや皮肉めいたニュアンスを持つことわざである。昇進祝いのように相手を手放しで祝福したい場面で、この言葉をそのまま賛辞として使うと、意図とは異なる皮肉めいた印象を与えかねない。素直に祝う場面では、「鬼に金棒」など肯定的なニュアンスの言葉を選ぶほうが適切である。

不正解…正解は「×」

「虎に翼」は、もともと強い者にさらに力が加わることを戒める、やや皮肉めいたニュアンスを持つことわざである。昇進祝いのように相手を手放しで祝福したい場面で、この言葉をそのまま賛辞として使うと、意図とは異なる皮肉めいた印象を与えかねない。素直に祝う場面では、「鬼に金棒」など肯定的なニュアンスの言葉を選ぶほうが適切である。

⑨まとめ

「虎に翼」は、もともと強い者や勢いのある者に、さらに威力が加わることを意味することわざであり、中国の思想書『韓非子』の一節に由来するとされる。「鬼に金棒」と似た構造を持ちながらも、権力者への戒めというやや否定的なニュアンスを含む点が大きな違いである。祝福したい場面での安易な賛辞としてではなく、力の増大を評したり、時にその危うさを指摘したりする場面で使いたい言葉である。

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この記事を書いた人

ことばに関わる仕事を長く続け、友人や同僚から祝辞・弔辞やスピーチ原稿の相談を受けることもある。ことばの由来や正しい使い方を分かりやすく伝えることをモットーに、四字熟語・ことわざの記事を監修している。

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