「塞翁が馬」の意味とは?読み方・由来・使い方を解説

塞翁が馬

一言でいえば、「塞翁が馬」とは、人生における幸不幸は予測できず、目先の出来事だけで一喜一憂すべきではないという意味である。「人間万事塞翁が馬」という形でよく使われる。

目次

①「塞翁が馬」の読み方・意味

「塞翁が馬」はさいおうがうまと読む。人生の幸・不幸は簡単には予測できず、幸運を手放しで喜ぶことも、不運を必要以上に嘆くこともできないというたとえである。「人間万事塞翁が馬」という形で使われることも多い。

読み方さいおうがうま
意味人生の幸・不幸は予測しがたく、一喜一憂すべきではないということ
分類ことわざ

②「塞翁が馬」の由来

「塞翁が馬」は、前漢の思想書『淮南子』の「人間訓」に由来するとされる。中国北方の塞に住む老人(塞翁)の馬が逃げてしまった際、人々が慰めに訪れると、塞翁は「これは幸いになるかもしれない」と言った。やがて逃げた馬は立派な駿馬を連れて戻り、人々が祝うと、今度は「これは災いになるかもしれない」と言った。その後、息子が駿馬から落ちて足を骨折し、さらに戦が起こった際には、足の怪我のために兵役を免れて命拾いをしたという。この一連の出来事から、目先の幸不幸にとらわれず物事を見る姿勢を「塞翁が馬」と呼ぶようになったとされる。

③「塞翁が馬」の使用例(例文)

  • 希望していた部署に配属されなかったが、人間万事塞翁が馬、新しい部署で思わぬ才能が開花した。
  • 希望とは違う部署へ異動になった友人を見て、これも塞翁が馬かもしれないと数年後に思い返した。
  • 取引先を一つ失ったが、その後もっと条件のよい会社と契約できたので、塞翁が馬だったと振り返っている。

④現場で見た「塞翁が馬」の使いどころ

以前、友人からリストラを経験した知人へ贈る励ましの手紙を見てほしいと頼まれたことがある。「今回は残念な結果でしたが、塞翁が馬という言葉もあります」と書かれていたのだが、まだ相手が失意の渦中にいる段階だったため、この言葉をそのまま贈ると「今の不幸を前向きに捉えろ」と急かしているように受け取られかねないと伝えた。「塞翁が馬」は本来、時間が経ってから振り返って使うことが多い言葉であり、渦中にいる相手にかける言葉としては、もう少し寄り添う表現に差し替えたほうがよいと助言したことがある。

⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点

「塞翁が馬」は、異動や契約解消など一見マイナスに見える出来事が、後になって良い結果につながった経験を振り返る場面でよく使われる。ただし、まだ結果の出ていない渦中の相手に対して安易にこの言葉をかけると、相手の落ち込みに配慮していない、あるいは根拠のない楽観を押しつけていると受け取られることがある。過去の出来事を振り返って使う分にはよいが、進行中の不運を慰める場面では、相手の状況をよく見て使いたい。

⑥類義語との違い

類義語としてよく挙げられるのが「禍福は糾える縄の如し」である。どちらも幸福と不幸が入れ替わりながら訪れるという考え方を示す点で共通している。ただし「塞翁が馬」は具体的な故事に基づき、出来事の連鎖をたとえた表現であるのに対し、「禍福は糾える縄の如し」は縄がより合わさる様子にたとえた、より抽象的で普遍的な表現である。また「一寸先は闇」も先行きが予測できないことを表す点では近いが、こちらは主に悪い方向への不安を強調する表現であり、良い方向への転換も含む「塞翁が馬」とはニュアンスが異なる。

⑦対義語

「塞翁が馬」には、はっきりとした対義語は存在しないとされる。あえて対照的なニュアンスを持つ語を挙げるなら「一度あることは二度ある」がある。「塞翁が馬」が幸不幸は入れ替わり予測できないとするのに対し、「一度あることは二度ある」は同じような出来事が繰り返し起こりやすいという、物事の推移をより固定的に捉える言葉である点で対照的である。

⑧一文〇×テスト

Q. 彼はどんな時も動じず冷静沈着なので、周囲から「あの人はまさに塞翁が馬のような人だ」と評されている。

正解は「×」!

「塞翁が馬」は、幸不幸が入れ替わりながら訪れる出来事の連鎖をたとえたことばであり、人の性格や人柄を形容する言葉ではない。冷静沈着な人物を評したいのであれば、「泰然自若」など人柄を表す別の言葉がふさわしい。

不正解…正解は「×」

「塞翁が馬」は、幸不幸が入れ替わりながら訪れる出来事の連鎖をたとえたことばであり、人の性格や人柄を形容する言葉ではない。冷静沈着な人物を評したいのであれば、「泰然自若」など人柄を表す別の言葉がふさわしい。

⑨まとめ

「塞翁が馬」は、人生の幸不幸は予測しがたく、一喜一憂すべきではないことを意味することわざであり、前漢の思想書『淮南子』の故事に由来するとされる。「禍福は糾える縄の如し」と似た考え方を示す言葉だが、具体的な物語を背景に持つ点に特徴がある。出来事を振り返って使う分にはよいが、渦中にいる相手を慰める場面や、人柄を形容する場面で使わないよう注意したい。

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この記事を書いた人

ことばに関わる仕事を長く続け、友人や同僚から祝辞・弔辞やスピーチ原稿の相談を受けることもある。ことばの由来や正しい使い方を分かりやすく伝えることをモットーに、四字熟語・ことわざの記事を監修している。

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