一言でいえば、「推敲」とは、文章や詩の言葉づかいを何度も練り直し、より良いものに仕上げることをいう。文章作成の場面で広く使われることばである。
①「推敲」の読み方・意味
「推敲」はすいこうと読む。文章や詩の字句、言い回しを何度も練り直し、より良い表現に仕上げていくことを意味する。一度書いた文章を見直し、より適切な言葉に修正していく作業全般を指して使われる。
| 読み方 | すいこう |
| 意味 | 文章や詩の字句を何度も練り直し、より良いものに仕上げること |
| 分類 | ことわざ |
②「推敲」の由来
「推敲」は、唐代の詩人賈島の逸話に由来するとされる。賈島が「僧は推す月下の門」という一句を作った際、「推す」を「敲く(たたく)」に改めるべきか迷い、驢馬に乗りながら手で押す仕草や叩く仕草を繰り返して考え込んでいたところ、都の長官であった韓愈の行列に突き当たってしまったという。事情を聞いた韓愈は「敲くの方が、月下に音が響く趣があってよいだろう」と助言し、以来二人で詩について語り合ったとされる。「推」は押すこと、「敲」は叩くことを意味し、この故事から、文章や詩の言葉を練り直すことを「推敲」と呼ぶようになったとされる。
③「推敲」の使用例(例文)
- 結婚式のスピーチ原稿は、何度も推敲を重ねてようやく納得のいく内容に仕上がった。
- 提出前にもう一度推敲しておいたほうがいいよ、と友人に念のため確認した。
- 取引先へのメール文面を推敲し、失礼のない言い回しに直してから送信した。
④現場で見た「推敲」の使いどころ
以前、知人からお祝いの手紙の下書きを見てほしいと頼まれたことがある。「一度書いただけですが、しっかり推敲しましたので大丈夫だと思います」と言われたのだが、実際に読んでみると同じ言い回しの重複や言葉足らずな箇所がいくつも見つかった。「推敲」は一度見直しただけで終わるものではなく、何度も練り直してこそ意味を持つ言葉だと伝え、声に出して読み返すことをすすめたところ、表現がずいぶん整理されて読みやすい文章になったことがある。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
「推敲」は、企画書やメール、スピーチ原稿など、あらゆる文章作成の場面で使われることばである。単に誤字脱字を直すことと混同されがちだが、本来は言葉の選び方や言い回しそのものを練り直す作業を指す。「推敲した」と言いながら実際には一度読み返しただけ、という状況にならないよう、何を、どのように見直したのかを具体的に意識しておきたい。
⑥類義語との違い
類義語としてよく挙げられるのが「校正」である。どちらも文章を見直す点では共通しているが、ニュアンスには違いがある。「校正」は誤字脱字や表記の誤りを正すという、事実確認に近い作業を指すのに対し、「推敲」は言葉づかいや表現そのものをより良いものへと練り上げる、創作寄りの作業を指す。また「添削」も文章に手を入れる点では近いが、こちらは他人の文章を第三者が直す行為を指すことが多く、自分自身の文章を練り直す「推敲」とは主体が異なる。
⑦対義語
「推敲」には、明確な対義語は存在しないとされる。あえて対照的なニュアンスを持つ語を挙げるなら「一筆書き」がある。「推敲」が何度も書き直し練り上げていく作業であるのに対し、「一筆書き」は書いたものに手を加えず一気に仕上げることを表す言葉であり、文章に対する向き合い方が対照的である。
⑧一文〇×テスト
Q. 彼は原稿を一度書き上げただけで見直しもせずに提出したが、それは十分に推敲を重ねた結果だと胸を張っていた。
正解は「×」!
「推敲」は、文章を何度も練り直すことを意味することばである。一度書いただけで見直しをしていないのであれば、推敲したとは言えない。この例文は言葉の意味と実際の行動が矛盾しており、誤った使い方である。
不正解…正解は「×」
「推敲」は、文章を何度も練り直すことを意味することばである。一度書いただけで見直しをしていないのであれば、推敲したとは言えない。この例文は言葉の意味と実際の行動が矛盾しており、誤った使い方である。
⑨まとめ
「推敲」は、文章や詩の字句を何度も練り直し、より良いものに仕上げることを意味することばであり、唐代の詩人賈島の逸話に由来するとされる。「校正」が誤りを正す作業であるのに対し、「推敲」は表現そのものを練り上げる作業である点が大きな違いである。一度読み返しただけで満足せず、何度も練り直してこそ本来の意味を持つ言葉として使いたい。

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