一言でいえば、「破天荒」とは、それまで誰も成し得なかったことを初めて成し遂げることをいう。実際には「豪快で大胆な性格」という意味で使われることが多いが、これは本来の意味からすると誤用である。
①「破天荒」の読み方・意味
「破天荒」ははてんこうと読む。それまで誰も成し得なかったことを初めて成し遂げることを意味する故事成語である。「前人未到の境地を切り開く」というニュアンスに近い。文化庁の調査では「豪快で大胆な様子」という意味で理解している人が多数派を占めるが、これは本来の意味とは異なる誤用とされる。
| 読み方 | はてんこう |
| 意味 | 誰も成し得なかったことを初めて成し遂げること |
| 分類 | ことわざ(故事成語) |
②「破天荒」の由来・出典
「破天荒」は、中国・宋代の説話集『北夢瑣言』の記述に由来するとされる。唐代、荊州からは科挙(高等官の資格試験)の合格者が長く出ておらず、その状態は「天荒(未開の荒れ地)」と呼ばれていた。大中年間、劉蛻という人物が荊州出身者として初めて科挙に合格したため、人々はこれを「天荒を破った」、すなわち「破天荒」と評したという。前人が成し得なかった境地を初めて切り開いた人物を指す言葉として広まったとされる。
③「破天荒」の使用例(例文)
- 後輩が社内報の原稿で「彼はいつも突拍子もない行動をする破天荒な性格だ」と紹介していたが、これは本来の意味からすると誤った使い方である。
- 会議で部長が「今期の彼の営業成績はまさに破天荒だ。これまで誰も達成したことのない数字を叩き出した」と評した。
- 友人からのLINEで「あの選手の今シーズンの記録は破天荒すぎる。歴代最多安打だって」と盛り上がった。
④現場で見た「破天荒」の使いどころ
以前、後輩から社内報に載せる先輩社員の紹介文を見てほしいと頼まれたことがある。「あの人はいつも予想外の行動をする破天荒な人だから、みんなに愛されている」という一文があったのだが、これは褒め言葉としては誤りだと伝えた。「破天荒」は本来、誰も成し得なかったことを初めて成し遂げた人を指す言葉であり、単に大胆で型破りな性格を表す言葉ではない。紹介したい先輩が本当に前人未到の実績を挙げた人物なのであればそのまま使えるが、単に「予想がつかない人」という意味で使いたいのであれば、「型破り」や「豪快」といった言葉に置き換えたほうが誤解がないと助言した。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
「破天荒」は、業界の常識を覆すような画期的な事業や、前例のない売上・記録を達成した人物・出来事を称える場面で使うのに適した言葉である。ただし、文化庁の調査でも6割以上が誤用しているとされるとおり、「豪快」「大胆」「型破りな性格」といった意味で使われることが非常に多い。単に自由奔放な人物を紹介したいだけであれば、この言葉は避けたほうが無難である。前人未到の実績や成果を伴わない場面で使うと、意味を理解していない印象を与えかねない点に注意したい。
⑥類義語との違い
類義語としてよく挙げられるのが「前代未聞」である。両者はいずれも「今までに例がない」という点では共通しているが、ニュアンスには違いがある。「破天荒」は、故事に基づき、誰かが前人未到の実績を初めて成し遂げたという達成の側面に重点がある言葉である。一方「前代未聞」は、実績の達成に限らず、単に「これまで聞いたことがないほど珍しい、驚くべきこと」を広く指す言葉で、必ずしも良い意味の達成を伴うとは限らない。
⑦対義語
「破天荒」には、明確な対義語は存在しないとされる。あえて対照的なニュアンスを持つ語を挙げるなら「月並み」がある。「破天荒」が前人未到の実績を表すのに対し、「月並み」はありふれていて特に目新しさのない様子を表す言葉であり、実績や物事の新しさという観点では対照的な位置づけといえる。
⑧一文〇×テスト
Q. 後輩が「あの先輩はいつも突拍子もない行動をする破天荒な人で、一緒にいて飽きない」と紹介した。この使い方は正しい?
正解は「×」!
「破天荒」は、誰も成し得なかったことを初めて成し遂げることを意味する言葉である。単に予想がつかない、大胆な性格を表す言葉として使うのは誤用にあたる。この例文のように前人未到の実績を伴わない場面では「型破り」「自由奔放」などの言葉のほうがふさわしい。
不正解…正解は「×」
「破天荒」は、誰も成し得なかったことを初めて成し遂げることを意味する言葉である。単に予想がつかない、大胆な性格を表す言葉として使うのは誤用にあたる。この例文のように前人未到の実績を伴わない場面では「型破り」「自由奔放」などの言葉のほうがふさわしい。
⑨まとめ
「破天荒」は、誰も成し得なかったことを初めて成し遂げることを意味する故事成語であり、中国・宋代の説話集『北夢瑣言』の故事に由来する。「豪快」「型破り」といった性格を表す言葉として使われることが多いが、これは本来の意味からすると誤用にあたる。前人未到の実績や成果を称える場面でこそ、この言葉本来の重みが生きる。使う場面を選び、正しい意味で使いたい言葉である。

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