一言でいえば、百鬼夜行(ひゃっきやこう)とは、さまざまな妖怪が夜中に列をなして歩き回ることを表す四字熟語である。転じて、得体の知れない者たちが好き勝手に怪しい振る舞いをする様子を表す言葉としても使われる。
①「百鬼夜行」の読み方・意味
ひゃっきやこうと読む(「ひゃっきやぎょう」と読むこともある)。「百鬼」はさまざまな妖怪、「夜行」は夜の闇を列をなして歩き回ることを意味する。二つが合わさり、多くの妖怪が夜道を練り歩く不気味な情景を表す言葉となった。転じて、得体の知れない者たちが公然と好き勝手にふるまい、怪しく醜い行いをする様子を表す言葉としても使われる。
| 読み方 | ひゃっきやこう(ひゃっきやぎょうとも) |
| 意味 | 多くの妖怪が夜中に列をなして歩くこと。転じて、得体の知れない者たちが好き勝手に振る舞うこと |
| 分類 | 混沌・不気味な様子を表す四字熟語 |
②「百鬼夜行」の由来・出典
百鬼夜行は、平安時代から室町時代にかけて書かれたさまざまな説話集に登場する言葉とされる。当時、夜な夜な多種多様な妖怪たちが列をなして都大路を練り歩くという言い伝えが広く信じられており、この行列に出くわすと命を落とすとされていたため、貴族は夜の外出を控えたと伝えられている。
室町時代には「百鬼夜行絵巻」と呼ばれる、擬人化された道具の妖怪(付喪神)たちが行列する様子を描いた絵巻物も制作され、広く親しまれた。もとは妖怪の行列そのものを指す言葉であったが、次第に、得体の知れない者たちが公然と怪しい行いをする様子をたとえる言葉としても使われるようになったとされる。
③「百鬼夜行」の使用例(例文)
- 深夜の繁華街の喧騒を、まるで百鬼夜行のようだと友人が形容した。
- 日常会話で:「深夜のあの繁華街は、まさに百鬼夜行といった雰囲気で、少し不気味だった。」
- ビジネスメールで:「一部の悪質な業者が百鬼夜行のごとく好き勝手に振る舞っている業界の実態について、注意を呼びかけたい。」
④現場で見た「百鬼夜行」の使いどころ
以前、社内イベントの紹介文を添削したことがある。原稿には、個性豊かな社員が一堂に会する懇親会の様子を指して「まさに百鬼夜行のような賑やかさでした」という一文があった。書き手は「個性的な顔ぶれがそろって賑やかだった」という前向きな意味で使ったようだが、百鬼夜行は本来、怪しく不気味な様子や、好き勝手にふるまう悪人たちを指す、否定的なニュアンスの強い言葉である。
そこで、個性豊かで賑やかな様子を前向きに表現したい場合は「多士済々」や「にぎやかな顔ぶれ」といった言葉に置き換えるよう助言した。言葉の響きだけで選んでしまうと、意図せず失礼な印象を与えかねないため、四字熟語が持つ本来のニュアンスを確認してから使う必要があると改めて感じた出来事だった。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
ビジネスの場では、悪質な業者や不透明な取引が横行している状況を批判的に表現する際に使われることが多い。「業界の一部で百鬼夜行のような不正がまかり通っている」といった形で、公然とはびこる怪しい行為を非難する表現として用いられる。
注意したいのは、百鬼夜行はあくまで不気味さや、好ましくない行いを批判する、否定的なニュアンスの言葉である点である。個性豊かな人々が集まって賑やかな様子を前向きに褒めたい場面で使ってしまうと、失礼な印象を与えかねないため、褒め言葉としては使わないよう注意したい。
⑥類義語との違い
類義語には魑魅魍魎(ちみもうりょう)がある。山や川に潜むさまざまな化け物や、得体の知れない怪しい者たちを意味する言葉で、妖怪そのものを指す点が近いが、百鬼夜行は妖怪たちが列をなして練り歩く動的な情景を表すのに対し、魑魅魍魎は怪しい者たちの存在そのものに重点を置く点が異なる。
⑦対義語
明確な対義語は存在しないが、対照的なニュアンスを持つ語として正々堂々(せいせいどうどう)が挙げられる。公明正大で、隠し立てのない態度を意味する言葉で、怪しい者たちが人目を忍んで好き勝手に振る舞う百鬼夜行とは対照的に、誰から見ても恥じることのない、公明正大な様子を表している。
⑧一文〇×テスト
Q. 社内懇親会の紹介文で、個性豊かな社員が集まった賑やかな様子を褒める意図で「まさに百鬼夜行のような賑やかさでした」と表現するのは、言葉のニュアンスに沿った正しい使い方である。
正解は「×」!
百鬼夜行は、不気味さや、得体の知れない者たちが好き勝手に振る舞う様子を表す、否定的なニュアンスの強い言葉である。個性豊かな人々が集まる賑やかさを前向きに褒めたい場面で使うと、失礼な印象を与えかねない。褒め言葉としては「多士済々」など別の表現を使う方が適切である。
不正解…正解は「×」
百鬼夜行は、不気味さや、得体の知れない者たちが好き勝手に振る舞う様子を表す、否定的なニュアンスの強い言葉である。個性豊かな人々が集まる賑やかさを前向きに褒めたい場面で使うと、失礼な印象を与えかねない。褒め言葉としては「多士済々」など別の表現を使う方が適切である。
⑨まとめ
百鬼夜行は、多くの妖怪が夜中に列をなして歩くことを表す四字熟語であり、平安時代から室町時代の説話に由来するとされる。転じて、得体の知れない者たちが好き勝手に振る舞う様子を批判する言葉として使われる一方、賑やかさを前向きに褒める言葉としては使えない点に注意したい。否定的なニュアンスを踏まえたうえで使いたい表現である。

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