「情けは人の為ならず」の意味とは?由来・使い方を解説

情けは人の為ならず

一言でいえば、「情けは人の為ならず」とは、人にかけた情けはいずれ巡り巡って自分に返ってくるので、誰にでも親切にすべきだという意味である。誤って逆の意味で理解されることが多いことわざである。

目次

①「情けは人の為ならず」の読み方・意味

「情けは人の為ならず」はなさけはひとのためならずと読む。人にかけた情けは、その人のためだけでなく、巡り巡っていずれ自分自身に良い結果となって返ってくるという意味である。だからこそ誰に対しても親切にしたほうがよい、という教えを含むことわざである。

読み方なさけはひとのためならず
意味人にかけた情けは巡り巡って自分に返ってくるということ
分類ことわざ

②「情けは人の為ならず」の由来

「情けは人の為ならず」は、鎌倉時代の軍記物語『曽我物語』に由来する説があるとされる。「情けは人の為ならず、巡り巡って己がため」という言い回しが先にあり、そこからこのことわざが生まれたともいわれる。「ならず」は古語で「〜なり(である)」の打ち消しの形であり、「人のためではない」、つまり「自分のためである」という意味になる。この文法的な構造の分かりにくさが、後述する誤用の原因ともなっているとされる。

③「情けは人の為ならず」の使用例(例文)

  • 困っている取引先の相談に親身に乗ったところ、後日大きな仕事を紹介してもらえた。まさに情けは人の為ならずだ。
  • 結婚式のスピーチで、「情けは人の為ならずという言葉通り、新郎は日頃から周囲に親切にしてきました」と紹介した。
  • 道に迷っている旅行者を案内したら、後日思わぬ形でお礼をされ、情けは人の為ならずを実感した。

④現場で見た「情けは人の為ならず」の使いどころ

以前、知人から後輩指導についての文章を見てほしいと頼まれたことがある。「情けは人の為ならずと言いますから、あえて厳しく接することにしています」と書かれていたのだが、これはこのことわざの意味を取り違えた、典型的な誤用だと伝えた。「情けは人の為ならず」は本来、人に親切にすることを勧める言葉であり、厳しさを正当化する言葉ではない。文化庁の調査でも誤解している人が多いことわざだと説明し、素直に「相手のためを思って」という言い回しに直してもらったことがある。

⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点

「情けは人の為ならず」は、誰かに親切にした結果が、巡り巡って自分に良い形で返ってきたという場面で使うのが正しい用法である。半数近くの人が「情けをかけるとその人のためにならない」という逆の意味で誤解しているとされることわざであり、厳しい指導や、あえて突き放す対応を正当化する場面で使うと、誤用として指摘される可能性がある。使う前に、意味を取り違えていないか確認しておきたい。

⑥類義語との違い

類義語としてよく挙げられるのが「情けは巡る」である。どちらも、人にかけた親切がいずれ自分に返ってくるという意味を持つ点で共通している。「情けは巡る」はより短く平易な言い回しであるのに対し、「情けは人の為ならず」は古語的な言い回しを含み、誤解を招きやすい分、正しい意味を説明する場面でよく取り上げられる。また「因果応報」も自分の行いが巡り巡って返ってくる点では近いが、こちらは良い行いだけでなく悪い行いの報いも含む、より広い意味を持つ言葉である。

⑦対義語

「情けは人の為ならず」には、明確な対義語は存在しないとされる。あえて対照的なニュアンスを持つ語を挙げるなら「自業自得」がある。「情けは人の為ならず」が他人への親切が自分に良い形で返ってくることを表すのに対し、「自業自得」は自分の悪い行いの報いを自分自身が受けることを表す言葉であり、返ってくる結果の良し悪しという点で対照的である。

⑧一文〇×テスト

Q. 後輩を甘やかすと本人のためにならないと考え、「情けは人の為ならずと言うから」と、あえて何も手助けせず厳しく突き放すことにした。

正解は「×」!

「情けは人の為ならず」は、人に親切にすることを勧め、その親切がいずれ自分に返ってくるという意味のことばである。この例文のように、厳しく突き放すことを正当化する意味で使うのは、広く見られる誤用であり、本来の意味とは正反対である。

不正解…正解は「×」

「情けは人の為ならず」は、人に親切にすることを勧め、その親切がいずれ自分に返ってくるという意味のことばである。この例文のように、厳しく突き放すことを正当化する意味で使うのは、広く見られる誤用であり、本来の意味とは正反対である。

⑨まとめ

「情けは人の為ならず」は、人にかけた情けは巡り巡って自分に返ってくるという意味のことわざであり、鎌倉時代の軍記物語に由来する説がある。「情けをかけるとその人のためにならない」という逆の意味で誤解している人が多いことわざでもある。厳しさを正当化する場面ではなく、親切の大切さを伝える場面で使いたい言葉である。

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この記事を書いた人

ことばに関わる仕事を長く続け、友人や同僚から祝辞・弔辞やスピーチ原稿の相談を受けることもある。ことばの由来や正しい使い方を分かりやすく伝えることをモットーに、四字熟語・ことわざの記事を監修している。

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