阿鼻叫喚の意味と由来とは?正しい使い方を例文で解説する

阿鼻叫喚

一言でいえば、阿鼻叫喚(あびきょうかん)とは、悲惨な状況に陥った人々が、苦しみのあまり泣き叫ぶ様子を表す四字熟語である。仏教の地獄の名に由来し、現世における無残で混乱した場面を表す際に使われる。

目次

①「阿鼻叫喚」の読み方・意味

あびきょうかんと読む。「阿鼻」は仏教における八大地獄のひとつ阿鼻地獄、「叫喚」はわめき叫ぶことを意味する。地獄の責め苦に耐えかねて泣き叫ぶ様子から転じて、現世で悲惨な状況に陥り、混乱して泣き叫ぶことを表す言葉となった。

読み方 あびきょうかん
意味 悲惨な状況に陥り、混乱して泣き叫ぶこと
分類 悲惨・混乱を表す四字熟語

②「阿鼻叫喚」の由来・出典

阿鼻叫喚は、平安時代の僧である源信(げんしん)が著した仏教書『往生要集(おうじょうようしゅう)』に説かれる八大地獄の思想に由来するとされる。「阿鼻」はサンスクリット語の「アヴィーチ」を漢字で写した言葉で「絶え間がないこと」を意味し、八大地獄のうち最も罪の重い者が落ちるとされる、業火に絶え間なく焼かれ続ける無限地獄を指すとされる。

「叫喚」もまたサンスクリット語の「ラウラヴァ」に由来し、「叫び声」を意味するとされる。阿鼻地獄に落ちた罪人たちが、耐えがたい苦しみのあまり泣き叫ぶ様子から、現世の悲惨で混乱した状況をたとえる言葉として使われるようになったとされる。

③「阿鼻叫喚」の使用例(例文)

  • ニュースの見出しで、戦禍の惨状を「阿鼻叫喚の巷と化した」と表現した。
  • 日常会話で:「テスト前日の教室は、まさに阿鼻叫喚といった騒ぎだった。」
  • ビジネスメールで:「システム障害の発生直後は、問い合わせ対応で現場が阿鼻叫喚の状態となっておりました。」

④現場で見た「阿鼻叫喚」の使いどころ

以前、社内システム導入の報告書を添削したことがある。原稿には、綿密な準備のおかげで導入当日の対応が非常にスムーズに進んだことを表現する意図で「阿鼻叫喚と言えるほど手際よく進行した」という一文があった。書き手は「見事な様子」を強調するつもりで使ったようだが、阿鼻叫喚は悲惨な状況で泣き叫ぶ混乱を表す言葉であり、スムーズに物事が進んだ様子を表す言葉としては意味が正反対になってしまうと感じた。

そこで、手際の良さを称賛したい場合は「見事な手際で」や「滞りなく」といった表現に直すよう助言した。響きの強い言葉ほど、字面の印象だけで使ってしまいがちだが、本来の意味を確認せずに使うと正反対の意味で伝わってしまう危険があると改めて感じた出来事だった。

⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点

ビジネスの場では、システム障害や大規模なクレーム対応など、現場が大きく混乱し悲鳴が上がるような状況を表す際に使われることが多い。「問い合わせが殺到し現場は阿鼻叫喚だった」といった形で、非常に混乱した状況を強調する表現として用いられる。

注意したいのは、阿鼻叫喚はあくまで悲惨で混乱した状況を表す言葉であり、物事が順調に進んだ様子や、良い意味でのにぎやかさを表す言葉ではない点である。字面の強さだけで安易に使ってしまうと、意図と正反対の印象を与えかねないため注意したい。

⑥類義語との違い

類義語には地獄絵図(じごくえず)がある。目を覆いたくなるほど悲惨な状況を意味する言葉で、視覚的な悲惨さを強調するのに対し、阿鼻叫喚は泣き叫ぶ声や混乱そのものに重点を置く点が異なる。

⑦対義語

明確な対義語は存在しないが、対照的なニュアンスを持つ語として平穏無事(へいおんぶじ)が挙げられる。何事もなく穏やかであることを意味する言葉で、混乱して泣き叫ぶ悲惨な状況を表す阿鼻叫喚とは対照的に、静かで落ち着いた様子を表している。

⑧一文〇×テスト

Q. 綿密な準備のおかげでシステム導入当日の対応が非常にスムーズに進んだことを称賛する意図で「阿鼻叫喚と言えるほど手際よく進行した」と表現するのは、言葉の意味に沿った正しい使い方である。



正解は「×」!

阿鼻叫喚は、悲惨な状況に陥り、混乱して泣き叫ぶことを表す言葉である。物事が順調でスムーズに進んだ様子を称賛する意味で使うと、本来の意味とは正反対になってしまうため誤用である。

不正解…正解は「×」

阿鼻叫喚は、悲惨な状況に陥り、混乱して泣き叫ぶことを表す言葉である。物事が順調でスムーズに進んだ様子を称賛する意味で使うと、本来の意味とは正反対になってしまうため誤用である。

⑨まとめ

阿鼻叫喚は、悲惨な状況に陥った人々が苦しみのあまり泣き叫ぶ様子を表す四字熟語であり、仏教の八大地獄のひとつ阿鼻地獄に由来するとされる。現世における混乱や悲惨な状況を強調する際に使われる言葉であり、物事が順調に進んだ様子を表す言葉として使うと正反対の意味になってしまう点に注意したい。

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この記事を書いた人

ことばに関わる仕事を長く続け、友人や同僚から祝辞・弔辞やスピーチ原稿の相談を受けることもある。ことばの由来や正しい使い方を分かりやすく伝えることをモットーに、四字熟語・ことわざの記事を監修している。

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