一言でいえば、乾坤一擲とは、運命をかけてのるかそるかの大勝負に出ることを表す四字熟語である。
監修:桐生志乃(元祝辞・弔辞代筆者/漢字検定1級取得)
①「乾坤一擲」の読み方・意味
「乾坤一擲」の読み方はけんこんいってき。運命をかけて、のるかそるかの大勝負に出ることを意味する。「乾坤」は天と地を、「一擲」はひとたび投げることを指し、天が出るか地が出るかをサイコロに例えて、運を天に任せて大勝負をする様子を表す言葉である。
| 読み方 | けんこんいってき |
| 意味 | 運命をかけて、のるかそるかの大勝負に出ること。 |
| 分類 | 四字熟語(決断・勝負) |
②「乾坤一擲」の由来・出典
唐の詩人・韓愈の詩「鴻溝を過ぐ」に由来するとされる。かつて楚の項羽と漢の劉邦が天下を二分する境界とした鴻溝という川を題材に、「一擲乾坤を賭す」という一節が詠まれたことから広まったとされる。天下という最大のものを賭けてサイコロを投げるような大勝負を表す言葉として、後世に定着したとされる。
③「乾坤一擲」の使用例(例文)
- 【ビジネス】新規事業への参入は、会社の命運をかけた乾坤一擲の勝負だった。
- 【日常会話】長年温めてきた計画を実行に移すことにした。まさに乾坤一擲の決断だ。
- 【スピーチ】創業者は当時、乾坤一擲の思いでこの事業を立ち上げたと聞いている。
④現場で見た「乾坤一擲」の使いどころ
以前、経営者の周年挨拶の原稿を添削したことがある。会社の小さな業務改善の話に「乾坤一擲の覚悟で臨んだ」という表現が使われていたのだが、内容と言葉の重みが釣り合っておらず、大げさな印象を与えてしまっていた。「乾坤一擲」は本来、後がない大勝負に使うべき言葉であり、日常的な取り組みに使うと誇張表現に聞こえてしまう。その部分は「着実に取り組んだ」という表現に改めることを提案したところ、全体の説得力が増した。言葉の重みを見極めて使う大切さを改めて感じた出来事だった。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
ビジネスの場では、会社の命運を左右するような大きな決断や勝負に出る場面で使われることが多い。「乾坤一擲の勝負に出る」「乾坤一擲の覚悟で臨む」という形で用いられる。注意したいのは、日常的な小さな判断や取り組みに対して使うと、言葉の重みと内容が釣り合わず、大げさな印象を与えてしまう点である。
⑥類義語との違い
乾坤一擲と近い意味を持つ言葉に「一か八か(いちかばちか)」がある。一か八かは、結果がどうなるか分からない状態で思い切って行動することを表す言葉で、大きな勝負に出るという点で共通している。ただし乾坤一擲が天下や命運を賭けるような重大な場面で使われるのに対し、一か八かはより口語的で日常的な場面にも幅広く使える表現である点が異なる。
⑦対義語
乾坤一擲の対義語としては「石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)」が挙げられる。石橋を叩いて渡るは、慎重の上にも慎重を期して物事を進めることを表す言葉で、運を天に任せて大勝負に出る乾坤一擲とは対照的に、リスクを徹底的に排除しようとする姿勢を示している。
⑧一文〇×テスト
Q. 昼食に何を食べるか少し迷った末に、いつもと違う店を選んだことを「乾坤一擲の決断だった」と表現するのは、正しい使い方である。
正解は「×」!
乾坤一擲は、運命をかけてのるかそるかの大勝負に出ることを表す言葉であり、本来は後がない重大な局面で使うべき表現である。昼食の店選びのような日常的で結果を左右しない小さな選択に使うと、言葉の重みと内容が釣り合わず、大げさで不自然な表現になってしまう。
不正解…正解は「×」
乾坤一擲は、運命をかけてのるかそるかの大勝負に出ることを表す言葉であり、本来は後がない重大な局面で使うべき表現である。昼食の店選びのような日常的で結果を左右しない小さな選択に使うと、言葉の重みと内容が釣り合わず、大げさで不自然な表現になってしまう。
⑨まとめ
乾坤一擲は運命をかけて、のるかそるかの大勝負に出ることを表す四字熟語である。項羽と劉邦の故事にちなむ漢詩に由来するとされ、天下や命運を賭けるような重大な局面で使うのがふさわしい言葉である。日常的な小さな判断に使うと大げさな印象を与えてしまうため、使う場面を見極めることが大切である。今回紹介した由来や注意点を参考に、ここぞという場面で自信を持って使ってほしい。

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