一言でいえば、厚顔無恥とは、あつかましく恥知らずなことを表す四字熟語である。
監修:桐生志乃(元祝辞・弔辞代筆者/漢字検定1級取得)
①「厚顔無恥」の読み方・意味
「厚顔無恥」の読み方はこうがんむち。あつかましく、恥知らずなことを意味する。「厚顔」はあつかましいことを、「無恥」は恥を知らないことを指し、恥ずかしいと思う気持ちを全く持たない厚かましい態度を表す言葉である。
| 読み方 | こうがんむち |
| 意味 | あつかましく、恥知らずなこと。またそのさま。 |
| 分類 | 四字熟語(人物評・性格) |
②「厚顔無恥」の由来・出典
中国最古の詩集『詩経』の「巧言」篇にある「巧言如簧、顔之厚矣(言葉巧みなること笛の如く、顔の厚きことよ)」という一節に由来するとされる。言葉を巧みに操って自分を良く見せながら内心の恥を隠す様子を詠んだ表現が転じて、あつかましく恥知らずな態度そのものを指す言葉として使われるようになったとされる。
③「厚顔無恥」の使用例(例文)
- 【ビジネス】自分のミスを部下のせいにするとは、まったく厚顔無恥な人だ。
- 【日常会話】あれだけ迷惑をかけておいて謝罪もないとは、厚顔無恥にもほどがある。
- 【エッセイ】厚顔無恥と言われようとも、自分の信念は曲げないという生き方もある。
④現場で見た「厚顔無恥」の使いどころ
以前、社内向けの注意喚起文書を添削したことがある。特定の個人を念頭に置いたと思われる内容で「厚顔無恥な行為は慎むように」という一文があったのだが、名指しに近い強い表現であり、文書として公開する際にトラブルに発展しかねないと感じた。「配慮に欠ける行為が見受けられる」という柔らかい表現に言い換えることを提案したところ、角の立たない文書に仕上がった。厚顔無恥という言葉は的確に状況を表せる反面、非常に強い非難のニュアンスを持つため、使う場面には慎重さが求められると改めて感じた出来事だった。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
ビジネスの場では、自分の非を認めず開き直る態度や、恥知らずな行為を批判する際に使われることが多い。「厚顔無恥な態度」「厚顔無恥にも程がある」という形で用いられる。注意したいのは、非常に強い非難の言葉であるため、特定の相手に直接使うと関係を悪化させたり、トラブルの原因になったりする点である。文書や会話で使う際は、対象や場面を慎重に選ぶ必要がある。
⑥類義語との違い
厚顔無恥と近い意味を持つ言葉に「面の皮が厚い(つらのかわがあつい)」がある。面の皮が厚いは、恥ずかしいと思うべき場面でも平気でいられる図太さを表す言葉で、あつかましさを表す点で共通している。ただし厚顔無恥が恥を知らないという性質そのものを強く非難する四字熟語であるのに対し、面の皮が厚いはより口語的で、多少ユーモラスなニュアンスを含む表現である点が異なる。
⑦対義語
厚顔無恥の対義語としては「謙虚(けんきょ)」が挙げられる。謙虚は、自分を誇示せず控えめな態度でいることを表す言葉で、恥を知らずあつかましく振る舞う厚顔無恥とは対照的に、自分の至らなさを自覚し、素直に受け止める姿勢を示している。
⑧一文〇×テスト
Q. 取引先の担当者を前にして、その仕事ぶりを称賛する意味で「あなたの厚顔無恥な姿勢を尊敬します」と伝えるのは、正しい使い方である。
正解は「×」!
厚顔無恥は、あつかましく恥知らずなことを表す強い非難の言葉であり、褒め言葉として使うことはできない。取引先の担当者に対してこの言葉を使うと、相手を侮辱する非常に失礼な発言になってしまう。称賛の意図であれば「堂々とした姿勢」など別の表現を使うべきである。
不正解…正解は「×」
厚顔無恥は、あつかましく恥知らずなことを表す強い非難の言葉であり、褒め言葉として使うことはできない。取引先の担当者に対してこの言葉を使うと、相手を侮辱する非常に失礼な発言になってしまう。称賛の意図であれば「堂々とした姿勢」など別の表現を使うべきである。
⑨まとめ
厚顔無恥はあつかましく、恥知らずなことを表す四字熟語である。『詩経』に由来するとされ、恥を知らない態度を強く非難する言葉として使われる。褒め言葉ではなく非常に強い非難の意味を持つため、使う相手や場面には十分な注意が必要である。今回紹介した由来や注意点を参考に、誤用のないよう正しく使ってほしい。

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