一言でいえば、「禍福は糾える縄の如し」とは、幸福と不幸は撚り合わせた縄のように、入れ替わりながら交互に訪れるという意味である。順調なときこそ油断を戒め、不遇なときには気持ちを前向きにする場面で使われる。
①「禍福は糾える縄の如し」の読み方・意味
「禍福は糾える縄の如し」はかふくはあざなえるなわのごとしと読む。幸福と不幸は、より合わせた一本の縄のように表裏一体で、交互に入れ替わりながら訪れるものだという意味である。
| 読み方 | かふくはあざなえるなわのごとし |
| 意味 | 幸福と不幸は縄のように入れ替わりながら交互に訪れるということ |
| 分類 | ことわざ |
②「禍福は糾える縄の如し」の由来
「禍福は糾える縄の如し」は、中国の歴史書『史記』の南越伝にある「因禍為福、成敗之転、譬若糾纏(禍に因りて福を為す。成敗の転ずるは、たとえば糾える縄の如し)」という一節に由来するとされる。「糾う」とは物と物を交差させ、撚り合わせるという意味であり、「糾える縄」で撚り合わせた一本の縄を表す。禍と福が、より合わさった縄のように表裏一体で、代わる代わる訪れる様子をたとえたことばとして定着したとされる。
③「禍福は糾える縄の如し」の使用例(例文)
- 大きな契約を逃した直後に、思わぬ形で別の商談がまとまった。禍福は糾える縄の如しだと実感した出来事だった。
- 臨時収入があった翌週に財布を落としてしまい、まさに禍福は糾える縄の如しだと苦笑いした。
- 順調だったプロジェクトに急なトラブルが起きたが、禍福は糾える縄の如しというし、この先何があるか分からないと気を引き締めた。
④現場で見た「禍福は糾える縄の如し」の使いどころ
以前、知人から取引先の担当者を励ますお見舞いの手紙を見てほしいと頼まれたことがある。大きな失敗をして落ち込んでいる相手に対し、「禍福は糾える縄の如しですから、そのうち良いことがありますよ」と書かれていたのだが、まだ相手が失意の渦中にいる段階でこの言葉を贈ると、辛い気持ちに寄り添わず先回りして励ましているように受け取られかねないと伝えた。時間が経ってから振り返って使うことが多い言葉であり、渦中の相手には、もう少し寄り添う言葉を選んだほうがよいと助言したことがある。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
「禍福は糾える縄の如し」は、順調なときに気を引き締めたり、不遇な時期を過ぎたあとに振り返って前向きに捉えたりする場面でよく使われることばである。ただし、まだ結果の出ていない渦中の相手を励ます場面で安易に使うと、相手の落ち込みに配慮していない印象を与えることがある。また、幸不幸が入れ替わるという含みを持つ言葉であるため、お祝いの場で使うと、今後の不安を暗示するように受け取られかねない点にも注意したい。
⑥類義語との違い
類義語としてよく挙げられるのが「塞翁が馬」である。どちらも幸福と不幸が入れ替わりながら訪れるという考え方を示す点で共通している。ただし「塞翁が馬」は具体的な故事に基づき、出来事の連鎖を物語として伝える表現であるのに対し、「禍福は糾える縄の如し」は縄がより合わさる様子にたとえた、より抽象的で普遍的な言い回しである。また「一寸先は闇」も先行きが予測できないことを表す点では近いが、こちらは主に悪い方向への不安を強調する表現であり、良い方向への転換も含む「禍福は糾える縄の如し」とはニュアンスが異なる。
⑦対義語
「禍福は糾える縄の如し」には、はっきりとした対義語は存在しないとされる。あえて対照的なニュアンスを持つ語を挙げるなら「一度あることは二度ある」がある。「禍福は糾える縄の如し」が幸不幸は入れ替わり予測できないとするのに対し、「一度あることは二度ある」は同じような出来事が繰り返し起こりやすいという、物事の推移をより固定的に捉える言葉である点で対照的である。
⑧一文〇×テスト
Q. 臨時収入があった翌週に財布を落としてしまった同僚に、「禍福は糾える縄の如しだね」と声をかけた。
正解は「〇」!
「禍福は糾える縄の如し」は、幸福と不幸が入れ替わりながら交互に訪れることを表すことばである。この例文のように、良いことと悪いことが立て続けに起こった状況を評して使うのは、ことばの意味に沿った正しい使い方である。
不正解…正解は「〇」
「禍福は糾える縄の如し」は、幸福と不幸が入れ替わりながら交互に訪れることを表すことばである。この例文のように、良いことと悪いことが立て続けに起こった状況を評して使うのは、ことばの意味に沿った正しい使い方である。
⑨まとめ
「禍福は糾える縄の如し」は、幸福と不幸は縄のように入れ替わりながら交互に訪れることを意味することわざであり、中国の歴史書『史記』の一節に由来するとされる。「塞翁が馬」と似た考え方を示す言葉だが、より抽象的で普遍的な言い回しである点に特徴がある。渦中の相手を励ます場面やお祝いの場では、今後の不安を暗示しないよう使う場面に注意したい。

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