一言でいえば、「毒を食らわば皿まで」とは、いったん悪事や危険なことに手を染めたからには、最後まで徹底してやり通そうという意味である。開き直りのニュアンスを含むことわざである。
①「毒を食らわば皿まで」の読み方・意味
「毒を食らわば皿まで」はどくをくらわばさらまでと読む。いったん悪事や危険なことに手を出してしまった以上、中途半端でやめず、最後まで徹底してやり通そうという意味である。開き直って物事を続ける様子を表す際に使われる。
| 読み方 | どくをくらわばさらまで |
| 意味 | いったん手を染めた以上、最後まで徹底してやり通そうということ |
| 分類 | ことわざ |
②「毒を食らわば皿まで」の由来
「毒を食らわば皿まで」の由来ははっきりと分かっていないとされる。毒の入った料理を食べてしまった以上、死に至ることに変わりはないのだから、その毒を盛った皿まで舐め尽くしても同じことだ、という考え方から生まれた表現だという説がある。江戸時代の歌舞伎「韓人漢文手管始」に初出の実例が見られるほか、近代の小説にも用例が確認されており、古くから広く使われてきたことわざであることがうかがえる。
③「毒を食らわば皿まで」の使用例(例文)
- 予定より大幅に予算を超えてしまったので、毒を食らわば皿までと、思い切って設備も一新することにした。
- 一度規約違反を指摘されてしまった以上、毒を食らわば皿までの精神で、対応をすべてやり直すことにした。
- 友人との会話で、「ここまで散財したなら、毒を食らわば皿までで、旅行も豪華にしよう」と冗談交じりに話した。
④現場で見た「毒を食らわば皿まで」の使いどころ
以前、知人から社内向けの始末書の下書きを見てほしいと頼まれたことがある。手続きの不備を認める文書の中で、「毒を食らわば皿までの精神で最後まで対応いたします」と書かれていたのだが、この言葉はもともと開き直って物事を続けるという、やや投げやりなニュアンスを含む表現であり、謝罪の文書で使うと反省の姿勢が伝わりにくくなると伝えた。前向きな決意を伝えたい場面では、この言葉を避けて素直な言葉で書き直してもらったことがある。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
「毒を食らわば皿まで」は、すでに後戻りできない状況で、中途半端にせず最後までやり切ろうと開き直る場面で使われることばである。冗談交じりの軽い場面ではユーモラスに響くこともあるが、もともと開き直りや居直りのニュアンスを含む表現であるため、謝罪や反省を伝える文書、あるいは改まった場面で使うと、真摯さに欠ける印象を与えることがある。使う場面には注意したい。
⑥類義語との違い
類義語としてよく挙げられるのが「乗りかかった船」である。どちらも、始めた以上は途中でやめずに最後までやり通すという意味を持つ点で共通している。ただし「乗りかかった船」は物事に取り組み始めた経緯や成り行きに重きが置かれた、比較的中立的な表現であるのに対し、「毒を食らわば皿まで」は悪事や危険を承知のうえで続けるという、開き直りのニュアンスがより強い表現である。
⑦対義語
「毒を食らわば皿まで」には、明確な対義語は存在しないとされる。あえて対照的なニュアンスを持つ語を挙げるなら「引き際が肝心」がある。「毒を食らわば皿まで」が最後まで突き進む姿勢を表すのに対し、「引き際が肝心」は状況を見極めて早めに手を引くことの大切さを表す言葉であり、物事への向き合い方が対照的である。
⑧一文〇×テスト
Q. うっかり社内規定に反する経費の使い方をしてしまった同僚が、「もう毒を食らわば皿までだ」と開き直って同じ処理を続けようとしていた。
正解は「〇」!
「毒を食らわば皿まで」は、いったん悪事や過ちに手を染めた以上、開き直って最後まで続けようとする様子を表すことばである。この例文のように、規定違反を承知のうえで開き直って続ける場面で使うのは、ことばの意味に沿った正しい使い方である。ただし、褒められた態度ではない点には注意したい。
不正解…正解は「〇」
「毒を食らわば皿まで」は、いったん悪事や過ちに手を染めた以上、開き直って最後まで続けようとする様子を表すことばである。この例文のように、規定違反を承知のうえで開き直って続ける場面で使うのは、ことばの意味に沿った正しい使い方である。ただし、褒められた態度ではない点には注意したい。
⑨まとめ
「毒を食らわば皿まで」は、いったん手を染めた以上、最後まで徹底してやり通そうという意味のことわざであり、詳しい由来ははっきりしないものの、江戸時代の歌舞伎などに古くから用例が見られる。「乗りかかった船」と似た意味を持つが、開き直りのニュアンスがより強い点が特徴である。改まった場面や謝罪の場では避け、使う文脈をよく選びたい言葉である。

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