一言でいえば、誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)とは、根拠のない悪口を言ったり、事実無根の非難によって他人の名誉を傷つけたりすることを表す四字熟語である。インターネット上のトラブルを語る際によく使われる言葉であり、正当な批判とは明確に区別される。
①「誹謗中傷」の読み方・意味
ひぼうちゅうしょうと読む。「誹謗」は他人を悪く言うこと、「中傷」は根拠のないことを言いふらして他人の名誉を傷つけることを意味する。どちらも似た意味を持つ言葉を重ねることで、悪意ある言動を強調した表現となっている。
| 読み方 | ひぼうちゅうしょう |
| 意味 | 根拠のない悪口や非難によって、他人の名誉を傷つけること |
| 分類 | 人間関係・言動の悪質さを表す四字熟語 |
②「誹謗中傷」の由来・出典
誹謗中傷は、中国の故事や特定の文献に由来する言葉ではなく、「誹謗」と「中傷」という、意味の近い二つの熟語を組み合わせて作られた四字熟語とされる。「誹」も「謗」も「そしる」と読み、人を悪く言うことを意味する漢字であり、「中傷」は「傷に中(あた)る」、つまり相手の弱いところを突いて傷つけることを意味するとされる。
似た意味の言葉を重ねることで意味を強める、日本語によくある成り立ちの四字熟語であり、特定の歴史的な逸話を持たない分、意味がそのまま直感的に伝わりやすい言葉として、現代では特にインターネット上の匿名の悪意ある投稿を指す言葉として広く使われている。
③「誹謗中傷」の使用例(例文)
- SNS上での誹謗中傷が問題視され、法的措置も検討されることになった。
- 日常会話で:「あの投稿は事実に基づかない誹謗中傷だから、記録を残して相談したほうがいい。」
- ビジネスメールで:「SNS上での誹謗中傷と思われる投稿を複数確認しており、法務部と対応を協議しております。」
④現場で見た「誹謗中傷」の使いどころ
以前、社内向けに公開する謝罪文の原稿を添削したことがある。原稿には、製品の不具合を指摘した利用者からの投稿を指して「一部の誹謗中傷により混乱が生じました」という一文があった。内容を確認すると、その投稿は根拠のない悪口ではなく、具体的な不具合内容を伴う正当な指摘であり、誹謗中傷という言葉を当てはめるには無理があると感じた。
そこで、正当な指摘と根拠のない悪口を混同しないよう、「一部にいただいたご意見」と「事実に基づかない悪意ある投稿」を分けて記載するよう助言した。誹謗中傷という言葉は、使い方を誤ると正当な批判の声を封じ込めているという印象を与えかねないため、実態に即して使う必要があると改めて感じた出来事だった。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
ビジネスの場では、SNSや口コミサイトにおける事実無根の悪評や、根拠のない個人攻撃について説明する際に使われることが多い。「誹謗中傷への対応方針」「誹謗中傷と判断し法的措置を検討する」といった形で、公式な文書でも用いられる表現である。
注意したいのは、誹謗中傷はあくまで「根拠のない悪口・非難」を指す言葉であり、事実に基づく指摘や、改善を目的とした厳しい意見とは区別される点である。都合の悪い指摘まで一括りに誹謗中傷と呼んでしまうと、正当な意見を封じようとしていると受け取られかねないため、指摘の内容が事実に基づいているかどうかを見極めたうえで使いたい言葉である。
⑥類義語との違い
類義語には罵詈雑言(ばりぞうごん)がある。口汚い言葉で相手をののしることを意味する言葉で、相手に直接悪口をぶつける点に重点があるのに対し、誹謗中傷は根拠のない悪評を言いふらして間接的に名誉を傷つける点に重点を置く点が異なる。
⑦対義語
明確な対義語は存在しないが、対照的なニュアンスを持つ語として阿諛追従(あゆついしょう)が挙げられる。相手に気に入られようと、へつらい従うことを意味する言葉で、根拠のない悪口で相手を傷つける誹謗中傷とは対照的に、根拠のない褒め言葉で相手にへつらう様子を表している。
⑧一文〇×テスト
Q. 具体的な不具合内容を挙げて改善を求める利用者からの投稿を、社内文書で「一部の誹謗中傷により混乱が生じました」と表現するのは、言葉の意味に沿った正しい使い方である。
正解は「×」!
誹謗中傷は「根拠のない悪口や非難」を指す言葉であり、具体的な事実に基づく指摘や改善要望はこれに当たらない。正当な意見まで誹謗中傷と呼んでしまうと、批判の声を封じ込めているという印象を与えかねないため、事実に基づいているかどうかを見極めて使う必要がある。
不正解…正解は「×」
誹謗中傷は「根拠のない悪口や非難」を指す言葉であり、具体的な事実に基づく指摘や改善要望はこれに当たらない。正当な意見まで誹謗中傷と呼んでしまうと、批判の声を封じ込めているという印象を与えかねないため、事実に基づいているかどうかを見極めて使う必要がある。
⑨まとめ
誹謗中傷は、根拠のない悪口や非難によって他人の名誉を傷つけることを表す四字熟語であり、「誹謗」と「中傷」を重ねて意味を強めた言葉とされる。インターネット上のトラブルを語る際によく使われる一方、事実に基づく正当な指摘とは明確に区別すべき言葉である。安易に使わず、内容を見極めたうえで用いたい表現である。

コメント