一言でいえば、十人十色とは、人それぞれ考え方や好み、性格などが異なることを表す四字熟語である。
監修:桐生志乃(元祝辞・弔辞代筆者/漢字検定1級取得)
①「十人十色」の読み方・意味
じゅうにんといろと読む。「十人」を「とおにん」、「十色」を「じゅっしょく」と読むのは誤りである点に注意したい。十人十色とは、十人いれば十通りの色があるように、人の考え方や好み、性格、価値観などはそれぞれ異なるものであるということを表す四字熟語である。良し悪しを判じる言葉ではなく、人それぞれの多様性をありのままに表現する際に使われる。
| 読み方 | 意味 | 分類 |
|---|---|---|
| じゅうにんといろ | 人それぞれ考え方や好みが異なること | 四字熟語 |
②「十人十色」の由来・出典
十人十色は、中国の古典に由来する言葉ではなく、日本で生まれた和製の四字熟語とされる。語源そのものは明らかになっていないが、江戸時代にはすでに広く使われていたとされ、江戸後期の人情本などにその使用例が見られるとされる。「十人十腹(じゅうにんといろ)」という異形の表現も存在したとされ、時代を経て「十人十色」の形が定着していったと考えられている。中国語には同様の四字熟語は見当たらず、日本独自の言い回しである点が特徴とされる。
③「十人十色」の使用例(例文)
- ビジネスメール:「働き方に対する考え方は十人十色ですので、各自の希望を尊重した制度を整えてまいりたく存じます。」
- 日常会話:「好きな音楽のジャンルは十人十色だから、みんなでカラオケに行くと選曲が面白いよね。」
- スピーチ:「新入社員の皆さんの個性は十人十色です。それぞれの持ち味を大切に、これからのご活躍を期待しております。」
④現場で見た「十人十色」の使いどころ
ある方のスピーチ原稿を確認する機会があった際、「座右の銘は十人十色です」という一文があった。座右の銘とは、教訓や戒め、励ましなどのために常に心に留め置いている言葉を指すものであり、十人十色はそうした教訓的な意味合いを持つ言葉ではないため、座右の銘としてはやや不自然な使い方である。十人十色はあくまで「人それぞれ違いがある」という事実を表す言葉であるため、座右の銘には別の言葉を検討するか、「多様性を尊重する社会でありたい」といった趣旨の文章に書き改めるよう助言した。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
十人十色は、社員それぞれの個性や価値観の違いを尊重する姿勢を示す際に、ビジネスの場でも比較的使いやすい四字熟語である。多様性を重視する近年の企業文化とも相性が良く、人事施策や研修の場面などで用いられることも多い。ただし、前述のとおり「座右の銘」として使うのは意味の面でやや不自然であり、また読み方を「とおにんじゅっしょく」などと誤読しないよう注意したい。
⑥類義語との違い
類義語として「三者三様(さんしゃさんよう)」が挙げられる。三者三様は、三人がそれぞれ異なるやり方や考え方を持っていることを表す言葉であり、対象となる人数が限定されている点が特徴である。一方、十人十色は「十人」という多人数を想定した表現であり、より広く「人それぞれ」という一般論を述べる際に使われる点で使い分けられる。
⑦対義語
十人十色の対義語としては「異口同音(いくどうおん)」が挙げられる。異口同音は、多くの人が口をそろえて同じことを言う様子を表す言葉であり、人それぞれの違いを表す十人十色とは対照的に、意見や考えが一致している状態を表す言葉である。
⑧一文〇×テスト
Q. 面接で「あなたの座右の銘は?」と聞かれた際に、「十人十色です」と答えるのは、座右の銘の使い方として正しい。
正解は「×」!
座右の銘は、教訓や戒め、励ましなどのために常に心に留め置いている言葉を指す。十人十色は「人それぞれ違いがある」という事実を表す言葉であり、教訓的な意味合いを持たないため、座右の銘としてはやや不自然な使い方である。
不正解…正解は「×」
座右の銘は、教訓や戒め、励ましなどのために常に心に留め置いている言葉を指す。十人十色は「人それぞれ違いがある」という事実を表す言葉であり、教訓的な意味合いを持たないため、座右の銘としてはやや不自然な使い方である。
⑨まとめ
十人十色は、人それぞれ考え方や好みが異なることを表す、日本で生まれた四字熟語である。読み方は「じゅうにんといろ」であり、「とおにんじゅっしょく」と読むのは誤りである。多様性を尊重する言葉として日常会話やビジネスの場で使いやすい一方、座右の銘としてはやや不自然な使い方になる点に注意し、正しい文脈で活用したい言葉である。

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