大器晩成の意味とは?由来となる老子の言葉と正しい使い方を解説

大器晩成

一言でいえば、大器晩成とは、偉大な人物は大成するまでに長い時間がかかることを表す四字熟語である。

監修:桐生志乃(元祝辞・弔辞代筆者/漢字検定1級取得)

目次

①「大器晩成」の読み方・意味

たいきばんせいと読む。大器晩成とは、大きな器がすぐには完成しないように、真に偉大な人物や大きな才能というものは、若いうちには目立たず、長い年月をかけてようやく大成するということを表す四字熟語である。若くして頭角を現す人物ではなく、遅れて実力を発揮する人物を評する際に使われる言葉である。

読み方意味分類
たいきばんせい偉大な人物は大成するまでに時間がかかること四字熟語

②「大器晩成」の由来・出典

大器晩成は、中国の思想家である老子の著作とされる『老子道徳経』第四十一章の「大方無隅、大器晩成、大音希声、大象無形」という一節に由来するとされる。大きな四角形には隅が見えず、大きな器は完成が遅く、大きな音は聞き取りにくく、大きな形は認識しにくいという趣旨の言葉であり、そのうちの「大器は晩成す」の部分が四字熟語として定着したとされる。なお、出土文献の研究などから、老子が本来伝えようとした意味は「大きすぎる器はかえって完成しない」というものであった可能性も指摘されており、一説には現在使われている前向きな意味とは異なるニュアンスであったとも言われる。その後、三国時代の逸話として、魏の武将崔琰(さいえん)が、大成の遅かった従兄弟の崔林(さいりん)を励ます際にこの言葉を用いたとされ、これを機に「偉大な人物は遅れて大成する」という前向きな意味で広く使われるようになったとされる。

③「大器晩成」の使用例(例文)

  • ビジネスメール:「彼は入社当初こそ目立ちませんでしたが、大器晩成という言葉のとおり、着実に実力をつけてまいりました。」
  • 日常会話:「うちの子は要領がよくないけど、大器晩成だと信じて見守っているんだ。」
  • スピーチ:「〇〇君は今回こそ結果を残せませんでしたが、大器晩成という言葉もあります。焦らず力を蓄えてほしいと思います。」

④現場で見た「大器晩成」の使いどころ

ある方の退職の挨拶文を確認した際、若くして成果を上げた元部下について「彼はまさに大器晩成だった」と書かれている一文があった。大器晩成は本来、遅れて実力を発揮する人物を評する言葉であり、早くから優秀さを発揮した人物には使わない方がよい。むしろ「栴檀は双葉より芳し」など、幼少期からの才能を表す言葉の方がふさわしいと考えられたため、意味の取り違えである旨を伝え、表現を改めるよう助言した。

⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点

大器晩成は、すぐに結果が出ない部下や後輩を励ます場面などで使いやすい四字熟語である。一方で、成果が出ていない相手に対して安易に使うと、暗に「今は評価できるものがない」というニュアンスを含んでしまうこともあるため、伝え方には配慮が必要である。また、前述のとおり早熟な人物に対して使うのは意味を取り違えた誤用であり、注意したい。

⑥類義語との違い

類義語として「遅咲き(おそざき)」が挙げられる。遅咲きは、成功するまでに人より長い時間がかかった人物や物事を指す言葉であり、大器晩成とほぼ同じ意味合いで使われる。ただし、大器晩成が中国古典に由来する格式高い表現であるのに対し、遅咲きはより口語的でやわらかい響きを持つ言葉であり、使う場面の改まり度合いによって使い分けるとよい。

⑦対義語

大器晩成の対義語としては「栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし)」が挙げられる。これは、大成する人物は幼い頃からすでに優れた才能の片鱗を見せているものであるという意味のことわざであり、遅れて大成する大器晩成とは対照的に、早熟な才能を表す言葉である。

⑧一文〇×テスト

Q. 幼少期から神童と呼ばれ、若くして数々の功績を残した人物を評して「彼はまさに大器晩成だ」と言うのは、大器晩成の使い方として正しい。

正解は「×」!

大器晩成は、若いうちには目立たず、長い年月をかけて遅れて大成する人物を評する言葉である。幼少期からすでに優れた才能を発揮していた人物には使わず、そうした早熟な才能を表す際は「栴檀は双葉より芳し」などの表現が適切である。

不正解…正解は「×」

大器晩成は、若いうちには目立たず、長い年月をかけて遅れて大成する人物を評する言葉である。幼少期からすでに優れた才能を発揮していた人物には使わず、そうした早熟な才能を表す際は「栴檀は双葉より芳し」などの表現が適切である。

⑨まとめ

大器晩成は、偉大な人物は大成するまでに長い時間がかかることを表す、老子の言葉に由来する四字熟語である。読み方は「たいきばんせい」であり、若くして功績を残した早熟な人物を評する言葉として使うのは誤りである点に注意したい。すぐに結果が出ない相手を励ます場面で使いやすい一方、伝え方には配慮が必要な言葉でもあり、正しい意味を踏まえて活用したい。

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この記事を書いた人

ことばに関わる仕事を長く続け、友人や同僚から祝辞・弔辞やスピーチ原稿の相談を受けることもある。ことばの由来や正しい使い方を分かりやすく伝えることをモットーに、四字熟語・ことわざの記事を監修している。

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