一言でいえば、五里霧中とは、物事の判断がつかず、どうしていいか迷うことを表す四字熟語である。
監修:桐生志乃(元祝辞・弔辞代筆者/漢字検定1級取得)
①「五里霧中」の読み方・意味
「五里霧中」の読み方はごりむちゅう。方向を見失うこと、また物事の判断がつかず、どうしていいか迷うことを意味する。見通しや方針がまったく立たず、手探りの状態にあることを表す言葉である。
| 読み方 | ごりむちゅう |
| 意味 | 物事の判断がつかず、どうしていいか迷うこと。見通しや方針が立たない状態。 |
| 分類 | 四字熟語(状況・心理) |
②「五里霧中」の由来・出典
中国の歴史書『後漢書』の張楷伝に由来するとされる。後漢の学者であった張楷は道術に通じており、五里四方にわたる霧を起こして自らの姿をくらますことができたという故事が記されている。深い霧の中では方角がまったく分からなくなることから転じて、物事の判断がつかず見通しが立たない状態を表す言葉として使われるようになったとされる。
③「五里霧中」の使用例(例文)
- 【ビジネス】市場の変化が激しく、今後の戦略について五里霧中の状態が続いている。
- 【日常会話】急に方針が変わってしまい、何を優先すべきか五里霧中で分からなくなった。
- 【エッセイ】新しい土地での生活は、最初は五里霧中の中を手探りで進むようなものだった。
④現場で見た「五里霧中」の使いどころ
以前、プロジェクトの進捗報告書を添削したことがある。「現在の状況は五里霧中であり、今後の方針は未定です」という一文があったのだが、報告書という性質上、単に迷っていると述べるだけでは読み手の不安を煽ってしまう懸念があった。「複数の選択肢を検討している段階であり、来週までに方針を確定させる」という具体的な見通しを添えることを提案したところ、より安心感のある報告書に仕上がった。五里霧中という言葉は状況を的確に表せる反面、それだけで終えると前向きさに欠ける印象を与えてしまうと改めて感じた出来事だった。
⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点
ビジネスの場では、状況が不透明で今後の方針や判断がつかない様子を表す際に使われることが多い。「五里霧中の状態が続く」「五里霧中で判断がつかない」という形で用いられる。注意したいのは、この言葉だけで終えると後ろ向きな印象を与えてしまうため、今後の対応策や見通しを併せて伝えることが望ましい点である。
⑥類義語との違い
五里霧中と近い意味を持つ言葉に「暗中模索(あんちゅうもさく)」がある。暗中模索は、手がかりのないまま、あれこれと試みることを表す言葉で、先行きが見えない状態を表す点で共通している。ただし五里霧中が判断や方針がつかず迷っている状態そのものを表すのに対し、暗中模索は迷いながらも何らかの行動を試みている点に重きを置く表現である点が異なる。
⑦対義語
五里霧中の対義語としては「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」が挙げられる。一目瞭然は、一目見ただけではっきりと分かることを表す言葉で、霧の中で方向を見失う五里霧中とは対照的に、状況や物事が明確に見通せる様子を示している。
⑧一文〇×テスト
Q. 新しい部署に異動したばかりで、業務の進め方も社内の慣習も分からず、何から手をつければよいか判断がつかない状態を「五里霧中の状態だ」と表現するのは、正しい使い方である。
正解は「〇」!
五里霧中は、物事の判断がつかず、どうしていいか迷うことを表す言葉である。新しい環境で状況が分からず、何をすべきか判断がつかない状態は、まさに五里霧中の典型的な使い方であり、この表現は適切である。
不正解…正解は「〇」
五里霧中は、物事の判断がつかず、どうしていいか迷うことを表す言葉である。新しい環境で状況が分からず、何をすべきか判断がつかない状態は、まさに五里霧中の典型的な使い方であり、この表現は適切である。
⑨まとめ
五里霧中は物事の判断がつかず、どうしていいか迷うことを表す四字熟語である。中国の『後漢書』に由来するとされ、見通しや方針が立たない状態を表す際に幅広く使われる。この言葉だけで終えると後ろ向きな印象を与えることもあるため、今後の対応策と併せて伝える工夫が大切である。今回紹介した由来や使い方を参考に、適切な場面で使ってほしい。

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