八面六臂の意味とは?由来となる阿修羅像と正しい使い方を解説

八面六臂

一言でいえば、八面六臂とは、多方面において目覚ましい活躍を見せることを表す四字熟語である。

監修:桐生志乃(元祝辞・弔辞代筆者/漢字検定1級取得)

目次

①「八面六臂」の読み方・意味

はちめんろっぴと読む。八面六臂とは、一人の人間が複数の分野や役割において、著しい活躍を見せることを表す四字熟語である。ひとつの仕事や立場にとどまらず、多方面で結果を残す様子を称える際に用いられる、基本的には褒め言葉である。

読み方 はちめんろっぴ
意味 多方面において著しく活躍すること・その人
分類 四字熟語

②「八面六臂」の由来・出典

「面」は顔を、「臂」は肘や腕を意味する。八面六臂はもともと、三つの顔と六本の腕を持つ阿修羅像などの仏像を表す「三面六臂」という言葉として、室町末期から使われていたとされる。それがのちに顔の数が増えて「八面六臂」という言葉に転じ、「人並み外れた能力を持つこと」という意味を伴いながら広まったとされる。仏像が持つ複数の顔と腕を、多方面で力を発揮する人の姿になぞらえた表現といえる。

③「八面六臂」の使用例(例文)

  • 退職の挨拶で、「八面六臂の活躍で部署を支えてくれた」と後輩をねぎらった。
  • 今学期は生徒会長を務めながら部活動でも結果を残し、まさに八面六臂の大活躍だったね。
  • 異動された田中様には、企画から現場対応まで八面六臂のご活躍をいただき、心より御礼申し上げます。

④現場で見た「八面六臂」の使いどころ

以前、送別会のスピーチ原稿を見てほしいと頼まれたことがある。異動する同僚を送る内容で、下書きには「彼は八面六臂の活躍をしてきました、私も見習いたいです」という一文があった。文章そのものに誤りはなかったが、話し手自身が今後どう成長したいかという話とやや距離があり、唐突な印象を受けた。そこで、送別する相手の具体的な功績を先に一つ、二つ挙げてから八面六臂という言葉でまとめると、聞き手によりその活躍ぶりが伝わりやすくなる、と助言したことがある。四字熟語は具体例と組み合わせてこそ説得力を持つのだと、あらためて感じた出来事だった。

⑤ビジネスシーンでの使い方・注意点

ビジネスの場では、複数の部署や役割をまたいで成果を上げた人物を評価する際に「八面六臂の活躍」という形で用いられることが多い。送別の挨拶や表彰の場面、取引先への感謝を伝えるメールなどで使いやすい表現である。一方で、この言葉は他者を称える褒め言葉として使うのが基本であり、自分自身の働きぶりを表すために使うと、自慢しているような印象を与えかねない。自己PRの場では、具体的な実績を淡々と述べるほうが謙虚で説得力のある印象になる。

⑥類義語との違い

類義語のひとつに「多芸多才」がある。これは多くの分野において優れた才能や技術を持っていることを指す言葉で、能力の幅広さそのものに焦点を当てる。一方、八面六臂は能力の幅広さに加えて、実際に「活躍した」という結果や成果が伴っている点に重きが置かれる。また「獅子奮迅」は、獅子が奮い立つような勢いで物事にあたる様子を表す言葉で、活躍の方面の広さよりも勢いや気迫を強調する点が八面六臂とは異なる。さらに「縦横無尽」は、自由自在に思う存分振る舞う様子を表し、活躍そのものよりも動きの自由さに重点を置く表現である。

⑦対義語

八面六臂には明確な対義語は存在しないが、対照的なニュアンスを持つ語として「器用貧乏」が挙げられる。器用貧乏とは、多方面のことを一通りこなせる器用さを持ちながらも、ひとつのことを極められず、結局は大成しないことを表す言葉である。多方面で力を発揮するという点では八面六臂と似ているものの、その結果が「著しい活躍」として実を結ぶか、「中途半端」に終わるかという点で正反対の評価となる。

⑧一文〇×テスト

Q. 転職の面接で自己PRとして「私は前職で八面六臂の活躍をしてまいりました」と述べるのは、謙虚さを保った適切な自己アピールの仕方である。



正解は「×」!

八面六臂は基本的に他者の活躍を称える褒め言葉であり、自分自身に使うと自慢げな印象を与えかねない。自己PRの場では、具体的な実績を淡々と述べるほうが謙虚で説得力のある表現になる。

不正解…正解は「×」

八面六臂は基本的に他者の活躍を称える褒め言葉であり、自分自身に使うと自慢げな印象を与えかねない。自己PRの場では、具体的な実績を淡々と述べるほうが謙虚で説得力のある表現になる。

⑨まとめ

八面六臂は、多方面において目覚ましい活躍を見せることを表す四字熟語であり、三面六臂の阿修羅像に由来するとされる。基本的には他者の働きを称える褒め言葉であり、自分自身に使うと自慢っぽく聞こえる点には注意したい。類義語の多芸多才や獅子奮迅とのニュアンスの違いを踏まえ、活躍する人へのねぎらいや感謝の言葉として、適切な場面で使いこなしたい表現である。

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この記事を書いた人

ことばに関わる仕事を長く続け、友人や同僚から祝辞・弔辞やスピーチ原稿の相談を受けることもある。ことばの由来や正しい使い方を分かりやすく伝えることをモットーに、四字熟語・ことわざの記事を監修している。

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